« Google 自動運転は時間の問題 | トップページ | 新築マンションの9割が「欠陥マンション」 »

2016年6月 5日 (日)

東京モーターショーが苦戦している

燃費競争一巡で、今後は自動運転と安全か。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160604-00000006-wordleaf-ind
THE PAGE 6月4日(土)20時35分配信

 自動車は今でも世界の花形産業だ。それが今後も続くという見方に異論がある人はいても、現時点で自動車が花形産業であることを否定することは難しいと思う。
その自動車のこれからを自動車産業自身が指し示すイベントと言えば「モーターショー」だ。

グローバルで見れば、「ジュネーブ」、「デトロイト」、「上海」の3つがリードしており、一応国際格ではあるもののフランクフルトとパリ、東京はかなり遅れを取り始めている。
ちなみに世界5大モーターショーは、ジュネーブ、フランクフルト、パリ、デトロイト、東京ということになっているが、それは20世紀の話だ。
上海が入っていない時点で現状を反映しているとは言えない。

♦ジュネーブショーの成功事例
かつて、欧州では各国のショーが拮抗していた時代があったが、ジュネーブはその団子状態を抜け出すために戦略的にショーのあり方をリデザインして他を突き放した。
自動車産業は国の基幹産業なので、ショーのコマ割りは各国のエゴが錯綜する。フランクフルトならドイツメーカーが会場の一等地を占領するし、パリならフランス車が同様になる。
そういう状況を見越した上で、スイスはマスプロダクションの自動車メーカーを国内に持たないことを武器に、公平性を主軸に打ち出した。
あわせて多言語の対応や充実したプレス対応、乳幼児施設や飲食、休憩所の充実までを含めた入場者サポートを徹底的に行った結果、欧州のメインショーの地位を獲得したのだ。

♦すでに勝負にならない「東京」対「上海」
視線を転じてわが国の東京ショーを見てみると、もはや国際格のショーの地位からほぼ転落してしまったと言える。
これは一般社団法人日本自動車工業会(自工会)の無策が原因である。ジュネーブの成功例を黙って見ていればそういう結果になるのは当然だ。
自工会のサイトに行って役員名簿を眺めてみると、自動車メーカー各社の会長・社長・役員がずらりと並んでいる。
多忙を極めるこの人たちに東京モーターショーを積極的に運営していくだけのリソースがあるとは思えない。要するに自分の会社と同じ真剣さでは運営していないのだ。

アジア圏最大の自動車ショーの地位はすでに上海が完全に制圧してしまった。
自動車ショーの重要度を測るひとつの目安は、新型車の初お披露目(ワールドプレミア)が何台あるかだが、前回2015年の東京ショーは主催者発表で75台。
上海はと言えば109台。ワールドプレミアに限らず総展示台数で見れば会場規模の問題があるとは言え、なんと3倍以上の開きが出ている。

 そもそも日中の自動車販売台数を比較すれば中国が2500万台に迫る勢いなのに対して、日本は500万台を割り込むことが確実視されている状況だ。
人口も14億人に対して1億3000万人。日本人としては極めて残念なことだが、現在の販売台数でも大差がついている上、今後の推移予想ではもはや勝負にならない。
東京対上海というアジアNo.1 ナショナルショーの覇権争いはもう諦めるより他にない。

♦“アジアのモーターショー”に
と言う現実を見据えて、日本が自動車先進国であり続けたいと考えるならば、早急に戦略を立てるべきタイミングだろう。
最初に考えるべきは上海ショーの弱みだ。巨大な中国マーケットを背景にしている上海ショーは、規模こそ巨大だが、どこまでも中国国内マーケット向けのショーに過ぎない。
参加メーカーも中国マーケットでアピールするのに必死で、アジア全域のことにまで構っていられない。その情勢は当面続く。

 つまり東京ショーがプレゼンスを保とうとするならば、日本のローカルショーであることを捨てて、アジアのモーターショーになるべきなのだ。
近年日本の多くのメーカーはインド、ASEANをターゲットにアジア戦略車を数多くリリースしており、それらの地域ではそれなりにアドバンテージを築くことに成功している。
シュリンクして行く国内マーケットをカバーし、グローバルで戦って行くためには、アジア戦略車の拡販が必須なのだ。
もし東京ショーをアジア戦略車の販促に結びつけられるとすれば、自動車メーカー各社はもっと予算を投入できるし、得られるメリットも大きくなる。
少なくともジリ貧の国内マーケット向けのお付き合いイベントと割り切る必要がなくなる。

「お祭り」を捨てウソを止める
それには、モーターショーを「お祭り」に位置づける温い考えを捨てるしかない。2015年の東京ショーの取材で、筆者はトヨタの「KIKAI」を見ても無駄なクルマであると断じた。
KIKAIは機械部品を剥き出しにしたスタイルを訴求したミッドシップ車である。

 現在の自動車開発の中で欠くことのできない重大な要素は歩行者保護を含む衝突安全と、環境技術、そして低燃費技術である。
これは好みの問題ではなく、どれも基準をクリアできなければ法的、あるいは倫理的に生産することができないし、その基準が今後緩和されることはあり得ない。
KIKAIのデザインコンセプトは、そのコンセプトそのものが歩行者保護にも衝突安全にも対応する手段がない。最初から実現を諦めたところで作られたショーモデルだ。

 程度の差こそあれ「永久機関を積んで地上をマッハ2で走る」と言っているのと同じで、常識的に「夢があるね」と言える範囲を遙かに逸脱している。
昭和のSFじゃないのだ。モーターショーでの展示がゴールで、以後研究開発を継続しないことが確定しているクルマは、メーカーがウソだと承知で作っていることになる。

 見る側もメーカーがウソだと承知で作っているクルマを喜んでいる場合ではない。子供向けに幼稚な夢を見せられていることに気づくべきなのだ。
これは遙か過去から続く東京ショーの重大な問題点である。デトロイトは地味すぎるほど現実的で、市販予定車のオンパレードだし、
ジュネーブにはもう少し華のあるモデルがあるが、それは次世代キーデザインを形にしたデザインコンセプトや、本気で研究開発を続けている技術、
例えば現在で言えば自動運転を訴求するためのコンセプトだったりと、きちんと未来のクルマに繋がる軸が通っている。
見た目だけは市販されるとは思えないウソ臭いデザインの未来カーであったとしても一台丸ごとウソということはほぼないのだ。

東京ショーの例で言えばマツダのRX-VISIONがそういうモデルだった。あれはステイクホルダーから研究開発の賛同を募るという明確な目的があった。
ロータリーエンジンはまだ技術的に現在の排ガス規制をクリアする方法が確立されていないし、ロータリーを積むにしてはパッケージに矛盾があったが、
ロータリースポーツというテーマは揺らいでいないし、研究開発を続ける意思もある。
本当に実現できるかどうかはともかく、生産につなげようとする意思がある限りそれは絵空事でもウソでもない。
トヨタにもそういう例がある。S-FRはそのディティールを見る限り、明らかに市販を前提にした作り込みがされていた。
何らかの理由で、現時点では販売には至っていないし、これからも販売されないかもしれないが、これは明らかにユーザーにハンドルを握ってもらうために作ったモデルだ。ウソどころか本気もいい所だ。

小型車が世界を救う
ではアジアのショーとしての東京ショーに出品されるクルマはどんなクルマであるべきか? 中国、インド、ASEANをトータルすると今後20年で5000万台のポテンシャルがある。
新車の販売台数は現状の1.5倍になる。そしてこれらの国で売れるクルマは当分小型車だ。それだけ台数が増えることを考えれば、低燃費で低環境負荷のクルマを作らなければ社会そのものが継続できない。
深刻な問題なのだ。日本の自動車メーカーにとってもその5000万台の伸びを健全に育て、その内どの程度のシェアを確保するかは生き残りを賭けた正念場になる。

(続きはソースで)

http://lpt.c.yimg.jp/im_siggxo3jkaXV4k4gA4ZUbwL0YA---x900-y605-q90/amd/20160604-00000006-wordleaf-000-view.jpg
2015年の上海モーターショー。存在感を急速に失いつつある東京ショーを尻目に、ワールドプレミアは100台以上といまや三大ショーの一角だ
http://lpt.c.yimg.jp/amd/20160604-00000006-wordleaf-001-view.jpg
トヨタKIKAI。トヨタが機械の美しさを訴求するというテーマで出品したショーモデル。剥き出しの部品こそが存在価値である以上、衝突安全も歩行者保護も手の打ちようがない
http://lpt.c.yimg.jp/amd/20160604-00000006-wordleaf-002-view.jpg
マツダRX-VISION。エンジンは搭載されていないモックアップだがその狙いは、株主などに対してロータリー開発計画の了承を取り付けるところにある。こういう先に続く地図があるものはウソではない
http://lpt.c.yimg.jp/amd/20160604-00000006-wordleaf-003-view.jpg
トヨタS-FR。トヨタが小型で安価なFRスポーツという線を狙って開発したモデル。その作りを見る限り、市販化前提であったことは明白。不幸にして計画が迷走中

終わり

|

« Google 自動運転は時間の問題 | トップページ | 新築マンションの9割が「欠陥マンション」 »

天下の情勢」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。